これは鯨を海から引き揚げ解体するデッキから構想された彫刻作品です。
作品に向かって左側が白いプラスティックで作られ、浄化と新生を意味しています。右側はコンクリートで模刻されていて、崩壊を表しています。内側からも崩壊したような古い木材の断片の間に、カビのようにナイロン繊維が覆う鯨の背骨がよこたわり、鯨を引き揚げるために使うケーブルを巻き上げるウインチが半ば陥没しています。
この展示室の外でケーブルによってひきあげられようとしているのは、竜涎香と呼ばれる物を模した彫刻です。竜涎香はマッコウクジラの体内で消化されずに残った結石のようなもので、香りが長続きするので、香水の原料として珍重されました。しかし容易に手に入るものではなく、DR9の映像作品の中でも広い海をただようこの竜涎香を、海女達が大事に捕獲し船に引き揚げるシーンが表れます。

彫刻の上につられた三面の大型モニターは、この映像作品から「男」「女」「船」というテーマで再編集されたイメージのシークエンスが流れ、部屋の中に響く笙の音がエキゾチックでリチュアルな世界を作り出しています。

拘束のドローイング9:ホログラフィック・エントリーポイント
DRAWING RESTRAINT 9 : Holographic Entrypoint
2005


拘束のドローイング9:出島
DRAWING RESTRAINT 9 : Dejima
2005


拘束のドローイング9:竜涎香
DRAWING RESTRAINT 9 : Ambergris
2005


金沢21世紀美術館解説より